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アメリカ国立公園 その7 ~8月6日(日)グランド・キャニオンへ~ (K)

ラスベガスではとくに早起きをする必要がなかったので、疲れをとるためにも8時半ころまでぐっすり寝ることができた。その間に、妻がホテル1階にあるスターバックス・コーヒーで朝食を買ってきてくれていた。巨大なマフィンやバナナケーキ、クロワッサンを食べて、元気を出す。

10時にチェックアウト。今日は、グランド・キャニオンまでの5時間のドライブだ。

アメリカ国立公園 その7 ~8月6日(日)グランド・キャニオンへ~ (K)_e0062717_3231933.jpgラスベガスから1時間ほど走ったところで、フーバー・ダム(Hoover Dam)を通り過ぎる。世界史で教わった、ルーズベルト大統領によるニュー・ディール政策で出てきたダムだ。貯水量は琵琶湖よりも多いそうだ。まさにこのダムの上に道が通っているので、渋滞が激しい。ダムを見学している観光客も非常に多い。

ダムを越えるとアリゾナ州に入る。アリゾナ州は「山岳部標準時」なので、カリフォルニア州やネバダ州の「西部標準時」とは時差が1時間ある。しかし、ややこしいことにアリゾナ州はサマータイム制度を採用していない。つまり、カリフォルニア州やネバダ州が夏に時計を1時間進めているのに、アリゾナ州はそのままにしている。
したがって、夏のあいだに限っては、カリフォルニア・ネバダ州とアリゾナ州との間には「時差はなくなる」、ということになる。うーん、複雑だ。
(余談ながら、アリゾナ州のなかでも、インディアンが住んでいる「ナバホ族居留地」は夏時間を採用しており、そのさらに内部の「ホピ族居留地」では夏時間を採用していない。激しく混乱する。)

途中のキングスマン(Kingsman)のファースト・フードで昼食を食べ、そこからI-40(州間幹線道路40号線)に合流する。今までの道路に比べて、貨物トラックの数が格段に多い。制限速度の75マイル(120km/h)で走っていても、トラックの制限速度は一般車よりも低いので、次々とトラックを追い抜かなくてはならないのが大変だ。I-40はロサンゼルスからテキサス方面へと、アメリカ南部を東西に一直線に横切っているので、物流の大動脈なのだろう。

アメリカ国立公園 その7 ~8月6日(日)グランド・キャニオンへ~ (K)_e0062717_3235324.jpg順調にドライブして、予定どおり、夕方にグランド・キャニオン国立公園に到着した。まずはマーサー・ポイント(Marther Point)と呼ばれる展望台に行く。よく写真などで見る典型的なグランド・キャニオンの風景だが、実際に見てみると峡谷のあまりの大きさに呆然としてしまう。正面には、反対側の北側斜面が見えるが、そこまでの距離は16kmもある。見えている景色に、東京の山手線がすっぽり収まってしまう、というくらいの広さだ。
また、下に流れているコロラド川までの標高差は約1500mもある。

マーサー・ポイントの近くにあるInformation Centerを訪れてから(あまり収穫はなかった)、宿に移動してチェックイン。峡谷からはすこし奥まったところにあるヤバパイ・ロッジ(Yavapai Lodge)というところだ。清潔で、すごしやすい部屋だった。

日没が7:20ころなので、6:30にロッジを出て、無料のシャトルバスで近くのYavapai Pointに行く。ここは日没を見ようという人が多い。人ごみを避けて少し歩き、見晴らしのよい岩に腰掛けて、夕焼けに赤く染まるグランド・キャニオンを見ることにした。日が沈むにつれて峡谷の色合いが変化し続けて、飽きることがない。ふと気がつくと、われわれが座っている岩の後ろに人だかりができていた。なかなかいいポイントだったようだ。
アメリカ国立公園 その7 ~8月6日(日)グランド・キャニオンへ~ (K)_e0062717_3241685.jpg

われわれは道端にある安全な岩に腰掛けていたのだが、一部の観光客は、さらにいい景色を見ようとがけっぷちギリギリまで迫っている。見ていてハラハラした。少しでも足を踏み外したら滑落死してしまう。突風もこわい。

さらに、家族と一緒に来ている子供も、危なっかしい。冒険心がありすぎるのか、がけっぷちにひょこひょこと近づいている。それを見た母親が厳しく注意するのだが、その言いかたが面白かった。
「サム! 崖に近づいてはいけません。悪いけど、見てて怖いわ(I'm sorry, I'm not happy about you)。16歳になったらどこに行こうと何をしようと自由だけど、いまはこっちに戻ってきなさい」
確かに、単に危ないからという理由だけだと、「でもママ、ほかの人たちはギリギリまで行ってるよ!」と子供ながらに思ってしまうのだろう。彼らは大人だからリスクをとっている、あんたは子供だから16歳になるまでは親の言うことを聞きなさい、と注意しているのが印象的だった。

余談だが、ヨセミテでも似たようなやりとりに出会った。インフォメーション・センターでヨセミテ渓谷のミニチュア・モデルが展示されており、Don't Touch!と大きく警告されている。しかし、一部の子供たちがおおはしゃぎでベタベタ触ってしまった。これを見たパーク・レンジャーのお兄さんが、毅然と注意するのだが、これも印象深かった。
「触っちゃダメだよ。ここに、『Don't Touch!』と書かれているだろう。君たちが触ると、ほかの人たちも触ってしまう。ここには多くの観光客がくるから、すぐに色がはげてきてしまう。すると、塗りなおさなきゃいけないね? 塗るためのお金は、税金だ! すると、ご両親や将来の君たちが、この税金を負担しなきゃならない。だから、触っちゃダメなんだよ。」
小学生低学年くらいの子供に、きちんと税金負担までさかのぼって教えているのには、すごく感動した。色が落ちてしまうからダメと言うだけだと、子供としては「じゃあ、塗りなおせばいいんじゃないの?」と思ってしまうだろう。

子供たちも頭できちんと考えていることをふまえて、注意する大人たちの側も単に頭ごなしではなく理屈できちんと諭している、という姿勢がおもしろかった。

さて、日も沈み薄暗くなったので、バスで来た道を帰ることにする。ロッジ近くにあるスーパーが夜8時まで営業しているので、閉店ギリギリに駆け込み、パン、ハム、チーズなどを買い込んだ。月がきれいな夜道をロッジまで歩き、部屋でサンドイッチを作って寝ることにした。
by dc20036 | 2006-08-20 03:16 | 国立公園
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